前々回のBlog、都市の住宅は「南の窓は大きい、北の窓は小さい」と書きました。
 その内容は、「空気を読むからプライバシー配慮が生まれ、そのことで都市の住宅は成立している」というもの。
 では、その北窓とは・・・どのような窓か、具体的に。

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 ① まず、北窓として「良くない窓」は・・・引き違い窓

 悪い例を先にあげます。
 引き違い窓。
 開けると、隣家が見えてしまいます。
 あなたの家からは北隣家が丸見えになるので、先方からはたいへん嫌がられます。
 小さな窓でも嫌がられます。
 「近隣配慮のできない家」として、相手から目隠しを要求されることもあります。
 双方が嫌な思いをし、それは後々まで引きずることになるでしょう。
 (以下、YKKap・APWサッシ(樹脂窓)で説明します。)
05引き違い


 ② 良い事例・・・縦滑り出し窓

 縦に滑り出る窓です。
 何が近隣配慮なのか?
 写真のように大きく開けるのではなく、少しだけ開けます。
 北側の家が見えないように開ける。
 もっぱら通風を目的に開けます。
01縦滑りだし2

 窓の仕組みは、ドアのように丁番側が固定されているのではなく、丁番側も動く。
 だから「滑り出し」。
 戸の左側に隙間(赤枠)が生まれ、そこから手を入れてガラスの外面も掃除できます。
 

 ③ 良い事例・・・横滑り出し窓

 横に滑り出る窓。
 上記が縦なら、こちらは横タイプ。
 何が近隣配慮なのか?
 北側の家が見えないように開ける。
 少しだけ開ける。
 通風を目的に開ける。
02横滑り出し 2

 つまり、昨今の都市住宅、窓を全開するような家はそうありません。
 24時間換気が義務化されているし、ほとんどの家には冷暖房があるので、窓は開けないことも多い。 

 仕組みは②と同じです。
 丁番側が下にスライドすることで上部が開き、この隙間(赤枠)から窓の外面が掃除できます。

 
 ④ 良い事例・・・2アクションサッシ

 YKKapではこの名称です。が、一般にはドレーキップ窓といいます。
 通風用に少しの内倒し(写真①)、掃除用に内開き(写真②)と、2種類のアクションが可能な窓。
 ほとんど通風だけに使うので、近隣配慮型。
 北窓が大きめでも使えます。(そうはいっても近隣状況を考えて設置します。)
 
03ツーウェイサッシ
04ツーウェイサッシ



 ⑤ 悪い事例・・・その他

 ・ 上げ下げ窓 (引き違い窓と同じ理由。直接見えてしまうから。)
 ・ トーメイガラス窓 


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 北の窓には短所があります。

 ⑥ 外に開く窓   ・ 網戸は内側になってしまいます。これを嫌う人がいます。
           ・ 戸が面格子にぶつかります。

 ⑦ 内に開く窓   ・ カーテンにぶつかります。

 ⑧ これら⑥⑦の短所をのり超えるのは難しい・・・。承知して設置することになります。
   そう考えると、最初に述べた引き違い窓は短所の少ない窓です。
   しかし、近隣配慮への優先度をどう考えるか・・・です。

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 北窓問題は隣家とこじれるとやっかいです。
 しっかり取り組み、前々回に書いたように、日本流の「空気を読む」ということは重要だと思われます。
 

 前々回のBlog: 「南の窓は大きい、北の窓は小さい」

 参考HP
 YKKapのHPに「窓の開き方 / 窓の教科書」というページがあります。さまざまな窓を学べます。
    ↓
 https://www.ykkap.co.jp/consumer/satellite/products/articles/mado_textbook/open/

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